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基本的な実践方法心身障害の回復や生活の質の向上、健康維持などを目的に音楽の持つ特性を利用したリハビリテーションを行うのが音楽療法です。音楽を聴いたり、実際に演奏したり歌ったり、身体を動かすことによってコミュニケーションを助けたり、心身の発達を促進する効果があります。音楽療法士は、対象者と目的に合うプログラムを作成します。音楽が持つ特性を正しく理解し、対象者の状態をしっかり把握・理解するだけのスキルと知識が求められます。音楽療法の目的は音楽を学ぶことではありません。
諸外国に比べて日本では音楽療法に対する理解がまだ進んでおらず、音楽療法を受けられる場所も少ない上に、音楽療法士の資格も確立できていないのが現状です。しかし、遡れば古代ギリシャ時代から音楽療法の元となる考え方があり、神経性の障害に対して音楽を処方したそうです。時を経て、現代の音楽療法が始まったのは第二次世界大戦後のアメリカで、心身共に傷を負った負傷兵が多数いる中、音楽療法は一定の効果を示したとされています。現在でもアメリカでは音楽療法の研究が盛んに行われています。
リハビリテーションに音楽が効果を示すことは感覚的に何となく理解できるかと思いますが、実際に音楽療法がどのように実践されるのかは想像しづらいのではないでしょうか。ただ音楽を聴くだけでは音楽療法ではありません。音楽療法では、対象者も声を出したり演奏したり歌ったり、身体を動かしたりとさまざまな形で音楽に触れ、音楽を通じてリハビリテーション効果を得ます。音楽療法士は、対象者の状態や求めていることに合わせて、曲のセレクトや構成を考えるなど音楽療法プログラムを作成します。
音楽療法士の仕事内容を職場別に見てみましょう。例えば、特別養護老人ホームやデイサービスなどの高齢者事業所では、コミュニケーション促進や心身の活性化に加え、認知症ケアとしての音楽療法に注目が集まっています。一方、自立訓練事業所などの障害者事業所では、情緒を安定させて自己表現を引き出すような音楽療法が取り入れられています。児童事業所では、心身の発達、コミュニケーション技術の発達効果のある音楽療法が実践されています。医療機関では精神科に限らず、外科や内科でも音楽療法が活用されています。