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基本的な実践方法音楽療法をスムーズに導入するにはコツがあります。まず、音楽療法は対象者に合わせたセッションを行うべきです。音楽療法の対象は、子供から大人、高齢者とさまざまな年齢の方々です。障害の内容や程度もさまざまです。よって、対象者に合わせて曲のセレクトを変更したり、音楽療法全体の構成を見直したり、演奏のリズムや音量なども調整しなければなりません。また、音楽療法士の言葉使いや声のボリューム、反応の伺い方なども対象者に合わせて配慮することが大切です。
次に、対象者の周りの方々から十分にヒアリングをして目標設定をすることです。対象者の健康状態や課題、症状などを主治医や担当の先生、カルテなどから情報収集します。そして、対象者に合った目標を設定することが必要です。例えば、「一番のサビを声を出して歌う」「伴奏に合わせてマラカスを鳴らす」のように具体性がある目標設定をするべきです。それによってプログラムも組みやすくなります。そして、評価表を作成し、実施記録、評価、改善点などを確認していきます。評価は身体活動や社会性から数値化して記入し、音楽療法を受けている様子を点数で記載します。その際、対象者の様子、反応、前回との相違点、これからの改善点なども合わせて記録します。課題を再度検討し、目標を調整しながら次のプログラムを作成していくことが重要です。
効果的に音楽療法を実施するために、プログラムは、起承転結をイメージして作成することが大切です。まず、起承転結の起ですが、準備体操や深呼吸、そして、挨拶や自己紹介と言ったところからスタートします。これから音楽療法が始まることを意識できるような遅めのテンポの曲が良いでしょう。次に起承転結の承として、元気が出て盛り上がる曲を使いましょう。少し早めのテンポの曲がおすすめです。全員で声を出したり、体を動かしたりするような動的な要素も入れてみましょう。起承転結の転では、楽器を演奏したり、ダンスをするなど、より積極的に運動できる内容にしましょう。使用する楽曲も変化をつけるとより良いです。最後に起承転結の結ですが、音楽療法の終了を意識できるようなしめやかな曲を使いましょう。
次回の音楽療法につながるような声掛けをしたり、次回使用する楽曲を紹介したりするのも良い方法です。そして、最後は挨拶と次回のインフォメーションでしめるようにします。季節を感じられる曲を採用したり、手作りの楽器を使ってみるなど、対象者が積極的に参加したいと思えるきっかけ作りも忘れないようにしましょう。
音楽療法士の仕事内容を職場別に見てみましょう。例えば、特別養護老人ホームやデイサービスなどの高齢者事業所では、コミュニケーション促進や心身の活性化に加え、認知症ケアとしての音楽療法に注目が集まっています。一方、自立訓練事業所などの障害者事業所では、情緒を安定させて自己表現を引き出すような音楽療法が取り入れられています。児童事業所では、心身の発達、コミュニケーション技術の発達効果のある音楽療法が実践されています。医療機関では精神科に限らず、外科や内科でも音楽療法が活用されています。