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基本的な実践方法現在のところ、日本の音楽療法士は民間の認定資格です。一般社団法人日本音楽療法学会や全国音楽療法士養成協議会などが代表的な認定機関ですが、他にも大学の卒業生が音楽療法士として認定される仕組みであったり、非営利団体や自治体による独自の認定制度などもあります。受講講座の内容や認定基準などは、各認定機関ごとに異なります。一般社団法人日本音楽療法学会の認定試験を受験する場合、日本音楽療法学会が指定した受験認定校の音楽療法専攻課程に入学しなければなりません。
日本では音楽療法士の活躍現場は少ないのが現状ですが、海外では福祉・医療などリハビリテーションを必要とする現場で音楽療法が積極的に取り入れられています。アメリカには「MT-BC」という音楽療法士の認定資格があり、国家資格ではありませんがアメリカ国内では米国音楽療法学会が唯一の認定機関です。ドイツでは音楽療法士は国家資格で、イギリスや北欧などのヨーロッパ諸国でも音楽療法が盛んに行われています。音楽療法士として本格的に活躍したいのであれば海外留学も検討すべき選択肢です。
お察しの通り、音楽療法士の仕事に就くのは簡単ではありません。専門性の高いスキルでありながら、求人数はまだまだ少なく、音楽療法士単体での勤め先となるとなかなかお目にかかることができません。音楽療法士としての採用というよりも、医療または介護福祉現場のリハビリテーションスタッフとしての採用になるケースが多いようです。実態としては、看護師、介護福祉士、作業療法士などの国家資格を持っている人がそれぞれの業務の中で音楽療法を行っているという状況です。
音楽療法士の仕事内容を職場別に見てみましょう。例えば、特別養護老人ホームやデイサービスなどの高齢者事業所では、コミュニケーション促進や心身の活性化に加え、認知症ケアとしての音楽療法に注目が集まっています。一方、自立訓練事業所などの障害者事業所では、情緒を安定させて自己表現を引き出すような音楽療法が取り入れられています。児童事業所では、心身の発達、コミュニケーション技術の発達効果のある音楽療法が実践されています。医療機関では精神科に限らず、外科や内科でも音楽療法が活用されています。